干支(えと)と十干(じっかん)【雑学発信】

<情報キャッチ vol.1> はなだ税務会計ファイナンシャルオフィスから情報発信!


年賀状には、よくその年の干支にあたる動物がデザインされています。

また生まれた年と同じ干支を迎えた人を「年男」「年女」と呼びます。

「干支(えと)」と聞くと、その年にちなんだ12種類の動物を思い浮かべることが多いと思いますが、
実はこれは「十二支(じゅうにし)」であり、干支とは異なるものです。

今回は「干支」についてお話ししましょう。

◆ 干支(えと)

10種類の「十干(じっかん)」と「十二支(じゅうにし)」とを組み合わせたものです。

 それぞれを組み合わせると60種類あることから、
六十干支(ろくじっかんし)とも呼ばれています。

季節や運勢、吉凶などを表す暦注(れきちゅう)の多くは
古代中国の陰陽五行説や易経から起こり、
その代表となるのが干支です。

◆ 「十干(じっかん)」

十干は古代中国の殷(いん)の時代に生まれたとされています。

次の10種類を総称したものです。

・甲(きのえ)  ・乙(きのと)

・丙(ひのえ)  ・丁(ひのと)

・戊(つちのえ) ・己(つちのと)

・庚(かのえ)  ・辛(かのと)

・壬(みずのえ) ・癸(みずのと)

甲から癸の10個の順に、日にちを10日ごとのまとまりで数えるための呼び名で、10日を一旬(いちじゅん)としました。

1ヶ月を上旬、中旬、下旬と3つに分ける呼び方は現在でも使われています。

その後、万物は「陰」と「陽」の2つに分けられ、
「木(もく)」「火(か)」「土(ど)」「金(ごん)」「水(すい)」の
5つの要素でできているという陰陽五行説を
十干に当てはめるようになります。

「陽」を「兄(え)」、「陰」を「弟(と)」に見立てました。

きの「え」、きの「と」、ひの「え」、ひの「と」と、
それぞれの最後の文字が「えと」になっています。

干支を「えと」と読むのはここから来ています。

また、契約書などの「甲は〜、乙は〜、丙は〜、」という文言や、
優劣をつけるのが難しいことを、「甲乙つけがたい」と表すことは、
十干に由来するものです。

十干はもともと順番や方角、暦に使われるものでした。

◆ 「十二支(じゅうにし)」

もともとは農業用語だった十二支。

農作物を育てやすいように、一年を通しての天候の流れや
季節がまわってくる日にちを計算するために暦が作られます。

中国殷時代では肉眼で見える惑星のうち、
約12年で天球を一周する木星を大切な星だと考えていました。

そこから12が時間を測るために用いられるようになり、
1年は12ヶ月、1日も12区分の時間で表されてきました。

また、木星の位置を示すために天球を12区分しました。

本来、十二支は植物が種子から成長して、
再び種子に戻るまでの姿を象形文字で表したものでしたが、
庶民に十二支を覚えさせるために、動物を当てはめたという説が、
現在では一般的です。

ちなみに昼12時を正午と読むのは十二支の午のことです。

十二支に当てはめた動物の漢字には幸せを願う、さまざまな意味が込められています。

・子(ね)   子孫繁栄、財力、行動力   

・丑(うし)   転換、誠実、堅実

・寅(とら)  始まり、才知、才覚       

・卯(う)    植物の成長、家内安全、飛躍

・辰(たつ)  正義感、生の活動       

・巳(み)    情熱、生命力

・午(うま)  豊作、健康           

・未(ひつじ)  家族安泰、作物が実る

・申(さる)  日照りや大火事を防ぐ、臨機応変 

・酉(とり)    商売繁盛、親切

・戌(いぬ)  忠義、勤勉、安全安心     

・亥(い)    作物の神、無病息災

◆ 最後に・・・

干支とは前述のとおり、「十干」と「十二支」を組み合わせた「十干十二支」のことを指します。

・十干   甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸

・十二支 子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥

それぞれ順に組み合わせていくと、

1.甲子(きのえね)、2.乙丑(きのとうし)、3.丙寅(ひのえとら)・・・、
最後は癸亥(みずのとい)となり、計60の干支になります。

干支が60年で一巡し、生まれた年の干支に戻ることを「還暦」と言います。

また、甲子園球場は、竣工式が行われた1924年(大正13年)が甲子の年にあたるとして、その名が付きました。

出生率が低くなる、丙午(ひのえうま)の迷信も有名です。

歴史的な出来事のなかにも、
壬申の乱(じんしんのらん、672年)、戊辰戦争(ぼしんせんそう、1868年)、など、
その年の干支がそのまま名前になった事変もあります。

辰年は政治の大きな変化が起きることが多い年といわれ、
ロッキード事件やリクルート事件といった汚職事件も辰年に発覚しています。

青函トンネル・瀬戸大橋開業(1988年)、
東京五輪開催・東海道新幹線開業(1964年)などの
国家プロジェクトが始まることが多いのも辰年の特徴です。

大きな出来事が多く、まさに動乱の年と言えます。

2024年の「甲辰」(きのえたつ)とは

「甲」は第1位であり、優勢であることを表す他、まっすぐに堂々とそそり立つ大木を表しています。

「辰」は十二支の中では唯一の架空の生き物、龍(竜)を意味します。

水や海の神として祀られてきた龍は、
竜巻や雷などの自然現象を起こす大自然の躍動を象徴するものであり、
「龍が現れるとめでたいことが起こる」と伝えられてきました。

この2つの組み合わせである甲辰には、
「成功という芽が成長していき、姿を整えていく」
といった縁起のよさを表しているといえそうです。